公園の記憶
初めて来た公園
少しでも高く人目につかない場所を探す
夕方を少し越えた空は軽くくすんでいて
生活の証がほのかに灯る
いつかのどこかの公園で留めてしまった記憶は
靄がかりながらも 今もこの胸の中

ミニマムに息をしたい 美しいものだけを飲み込みたい
濾過して 目を凝らし 欲しいものだけを
それでも混沌を欲するのは そこに必要なものがあるから
今頃遠い町では正しい音楽が流れているだろう
それでもいつかの邂逅を予感する
多分それは必然

目まぐるしい時は少しお休み
でも必然性如何
この手は何を生み出すことができるだろう
その時胸に何を抱いているだろう
見つめるために 開き直るために
私は切実に呼吸する
どうしたって消せない欲望
あとはどこで地に降りるかだ どこで表出させるかだ

知らない古い道を歩いていて
何故だか君のことを思い出した
少し凍えながら騒音の前に拙い指で吐き出す
君はこの体の中でミューズとなっている
本当は早く ただの人間としての君に触れたいのだけどね
もう少し もう少しだけ
あの実が熟すまで
そういう気がするんだ
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兎の戯言
完全な仮面を被っていたのに
息が少し辛くなって 意図して溶かし始めた
見るもの全てを拒絶するには 少し歳を取りすぎた
完全を求める無為さに気付いたから 僕は少しずつ溶かし始める
そうして僕は少しだけ大人になった
ように見えるかな

本当は君以外に 見せたくなかった
単なる素顔など 取るに足らない
価値を持つのは表現だけ それは僕が一番良く知っている
だから 君にだけしか渡したくなかった
こんな取るに足らない僕は
だけど今横に君がいないから 朝目覚めたっていないから
僕は様々な形で寂しさを表現している
君に気付いてもらうために
僕は声にならない声で 喉を枯らす
のかな

心からの材料は 純粋な表現を生み出す
これがどうしても欲しくて 一番大事な場所を離れた
この材料を用いて とても綺麗な構築物をこの手で
そのためなら 心が潰れようとも惜しくない
そう思おうとしている

君を絞め殺してしまいたくなかった
僕等は各々の足で立つために 暫くの時間が必要だった
何より僕は君に寄りかかるばかりだったから
君のいない空間を知らなければならなかった
僕が生き絶えたとき 君には一人でも生きて欲しい
君が生き絶えたとき 僕はきっと息詰めるだろうけれど
一番長く生きるために 僕と君を生かすために 長く共に在るために
この箱に君を閉じ込めるのを辞めた
のかもしれない

君に渡すには真に素晴らしいものでなくてはならなくて
今の僕にはまだ作り出せなくて
だから少しの間待ってくれないか
もう少しでできあがるから
そうしたら君の隣でまた笑うから
もう少しだけ 時間をくれないか
そうすればもっと素晴らしいものができあがる
そうして僕等はもっと素晴らしい場所へ行くことができる
という夢想

さあどれが本当
それともどれも嘘



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同心円
惹かれることと 同一化したいことの区別がつかない
それでも僕等はやはり少し似ていて だから僕は貴方の暗闇が手に取る様に分かる
それはとても恐くて とても我儘で とても甘美なものだ
多分貴方も 大変に愛しているのだろう
そして己の源泉にしているのだろう

幼い日 左と右を組み換えた僕の様に
貴方は魔法使いに憧れた
それは己のピースではないと気付き 貴方は翼を得た
遥か高くへ飛び上がることができる翼を

遠いところに目を置ける人間は 翼を持っている人間は
そのままでは決して地に立つことができない
それを隠すために 魔法のような手品を使う こっそりと
そして焦点をずらそうとする
そうやって何とか息をする

言葉を体と切り離すことができない
思いの外感情的な行動規範を持つ
だから生み出すものは全てが自分の子供で
源泉がないと重さをもって歌えない
そんな自分を 人間らしいと感じて安堵する
元々反吐が出る程人間なのにね

だけど だからこそ 僕等は質量のあるものを生み出すことができるのだ
本当は捨ていくべきだった暗闇を抱いて 余計に苦しみながら快楽を得る
いつだって客体を欲する貴方
まるで鏡像のようだ
一人になりたがる癖に寂しがる

甘くたって 歪んでいたって 傲慢だって
僕等はそうやって生きている
願わくば 北極星のようにいて欲しい
そして寄り添う光に寄り添っていて欲しい
真っ直ぐに
僕は貴方の美しさを見て 少しでも近付きたいと思った


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長い道程
今しがた大きな荷物を下ろしたあなたは これを是だと信じようとしていた
かつてのあなたを 横目で眺めていた私は その信心を肯定せねばと 急かされるように

一欠片だって渡しやしなかった あなたも 私も
それでもあの緩んだ日々の中 多分誰よりも 私はあなたの吐露を受け止めていただろう そしてあなたは私の衝動を受け止めていた
しかし一欠片だって 渡しやしなかった
私も あなたも

ただ眺めて 聞いて 触って 関係がない場所での戯れ
何にも繋がらない場所で 何にも生み出さない呼吸を
初めは少し楽しげに 後には少し苦しく
そしてそっとあるべき場所へ戻った
苦しさが上回るまでとあなたが言った通りに

あなたの抱え続けた大きな荷物は具現化せぬまま消えてしまった
長い間 息を切らし潰されながら 大事に守り続けたあなたを 私は横目で見た
早く手放せば良いのにと 早く楽になれば良いのにと思いながら

緩んだ時間の無益な繋がりは何も生まなかったけれど 私達はお互いを思っていた
決して対ではなくとも 私達は不器用に労わりあった 古い部屋で 懐かしい町で
無為だって分かっていた それでも私達は

私は信心を肯定しよう 精一杯の言葉で
あなたは一つも間違わなかった
あなたはとてつもなく優しい人だ
お疲れ様






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暗い道を歩く
暗い海を臨む目が帰ってきたのは 少ししか街灯の無い迫り来る道
何度となく聴いた旋律を反芻して風が吹き抜ける
暗闇がなければ何も降りてこないまま 穏やかな時間を食い潰すことができる
だけど徒労の重なりは 思ったより甘美で
漸く生命の手触りを思い出す

忌み嫌っていたこみ上げる何かは 暫くこの体を離れ 僕は欠片をなくしていた
重鈍な思考は重いのか多いのか
暗い道は何度となく歩いた古い道と似ている
定住する箱を持つことに 実感を以って恐怖を抱いた
まだその時ではない
未熟であると共に まだ形を持ちたくない
形はとても強い とても硬い
僕の魂はまだ欲しない 混沌を欲する

溢れ出る瞬間を久々に感じる
錆び付いていなかったこの体よ
暗い道は暗い海へ続いていて 僕の源はあの彼岸にある
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花曇
何時も通りの春が来て
ここで初めての春を迎える
桜色の中に 君が居なくて良かった
思い出すことが何もないから
花曇は夢想を柔らかに包む
ないことで感じることもある

もう何回か月が満ちるうちに
若葉が茂り 雨が降り 夏が来る
あの夏は結晶になってしまった
もう暫く 触れることすらないから
とても綺麗な結晶だ
本当は混ざり合っていたのに
喜びと悲しみと楽しさと苦しさが
すっかり忘れたみたいに 綺麗な結晶を撫でる
またページを捲って 実際に触れたいと思うけれど
それは多分今では無くて もう何回か回ったら

多分何時か来るだろう
今日は花曇
思い出すものは何も無い

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すれ違いざまの永遠を欲する
その時虚空を切る筈だった腕を受け止めたことに 後悔はない
ただ真直ぐを口にできない
歪んで すれ違い それでも紡いだ
糸は絡まり 僕等は何も生み出さなかったかもしれない

でもどんなに歪んだフォルムでも あの瞬間 福音だった
とんだ事故がなければ僕は潰れていただろう
自分の蒔いた種から伸びた蔓に巻かれて

君はきっと君のせいだと考えていて
僕は僕が組み立ててしまったと考えている

何でもなかったから躊躇すらしなかった
だのに何時の間に 大切になったろう

分からないことだらけだ
互いに怯えて知ろうとしない
また終わらせられなかった
それは残酷なことだろうか
それとも喜ぶべきことだろうか
判断ができる程の情報が無い

僕は我儘だけれど
それでも君の幸せを思う
そうして言葉が止まるんだ

あの場所はとても心地良い
君は何を思うだろうか
君は思考を知りたいだろうか
それとも 何でもないのだろうか
始まりの時のように
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深く刻む
風にすら乗らない 2進法のうわさ
そこにあった笑顔はあの日のままだ
適切な座標に配置されただけのことだと分かっている
何にも悲しいことなどないのに

また偶然にあの街に行くよ
一人で幾度も訪れて たくさんを刻んだあの街に
ほんの一度 たった一度 そこに在っただけで 油絵のように塗り込められた
あの街に立ったらば 暫くは毎度 あの日の有様を思い出すのだろう
刻んだたくさんなんて意味がないくらい 深く深く その手は刻んだのだ
空は高かった 太陽は笑っていて 何時も通りの涼しい色が確かにあった
ひとつも形を残さなかった でも間違いなく手触りは残っている

私も適切な座標に配置されるのだろう
そうして何もなかったみたいに 偶に会っては笑うのだろう
本当はページをめくっては頭を巡らすこと幾度か
だけどやっぱりここなのだと その度に思って
だのに面影を追っては 違う度に溜息を洩らす
何も不幸せなことなどないのに

剥がれないよ あの時間が
何時までこんな不誠実な誠実さを抱えてくだろう
きっと時が磨き上げて 綺麗なオブジェになるだろうと分かっているけれど
それだけじゃ足りないと 奥底で叫ぶのは誰だ


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微分できない
0と1の間に隠された意味
手触りを想起させるには十分
あの言葉は叶わなかった
もう忘れてしまったかな
いつか思い出すだろうか
いつか蘇るだろうか

瞬間の光は写真のように胸の中に
色褪せさせないためにドットで描いた
だから 今も 光るばかりで
だけど今も昔も 走り出せなどしなかった

少しの時はモルヒネのようだ
分裂したままの世界
それは今も続く
ようやく一つを選び取ろうと決めた
そうしたらもう一つは いつの間にか跡形もなく
もう少しだけ時間があれば 掠ることはできたろう
でもそうしたら 私はどこにも行けなくなるところだった

まだフレームの中に入りきらない情動
モルヒネは遅効性らしい
選び取ったこの道を 後悔などしないだろう
そしてそれは同じだろう
だけどどうしても この場所に立っていても
いつかが来るのではと 怯えながら希望的な確信を抱える
|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
空が遠い
狭いけれど深い入道雲浮かんだ空
端っこで魂胆ばかり育んだあの日と似た色をしている
そこにだってここにだって生活があって
あの日私は今の様な指向性を空想の産物だと思っていただろう
虚勢だった欠片は長じて心よりの共感になった
良いものが空気の様になると後で苦しくなるんだよ
夜中鋭い刃物が切り裂くとしたら
昼間弛緩した絶望が怠惰に纏わり付く

全てだった 恥ずべきことながら
骨になってもハートが残るなら
それはとても美しいことだと思う
これ以上恥じたくは無い
ならば選ぶべき道は その二つは天と地程差があるけれど
実際は裏表 大して変わらない気がする
境界を歩いていても 殆どが仮構だ
そういう心性で生きてきた
だからあの美徳が素晴らしく思えるのだろう
だから私はここから離れられないのだ

空はいつだって在るのに
永遠はどうして届かないのだろうか
昼間の太陽の下でも 人は深海を臨むことができる
|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)

double happiness
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