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金木犀香る坂道
金木犀の香り、暗がりの坂道、何時も通りの急ぎ足。
明日にはあなたはいなくなってしまう。
嘘みたいに、日常のように、時間だけ過ぎる。

白々しい照明の下、大部屋の端。
要塞みたいな壁の奥に、私とあなたは在った。
いずれこの要塞は緩やかに壊れていくと信じていたけれど、
急転直下の大きな力、この小さな体では何もできず、思いをただ川の流れに放った。

柔らかな声、眼鏡の奥、横顔しか盗み見ることができない。
目を伏せてはその周波数を忘れないように刻み込んだ。
天性の先生は沢山の言葉を投げるから、まるで一緒に映画を観るように、趣のないデータを覗き込んだ。

秘密をたくさんもった、偽悪的なあなたは、明日には広い世界に行く。
いつか、私も羽ばたくから、そのときまで私の視界から、消えてなくならないで欲しい。

明日から私は忙しいと呟いて、あなたがいないことを見ないようにするだろう。
立ち止まったとき、あなたがいた席に自分が座っていることに、吃驚して、少し泣きたくなるだろう。
ここのところ池のほとりに逃げる回数が増えていたのは、メランコリーを咀嚼するためだった。
そうでもしないと、耐えられない。
嗜好品にしてしまわないと、潰れてしまう。

漸くあなたの望みが叶って、本当に嬉しく思う。
でも同じくらい、もう少しだけ時間が欲しかったとも思う。

アルコールを杖にして放り出した言葉は、ちっとも嘘じゃない。
柔らかな声、願わくば長く、私に食べさせて欲しい。
金木犀の香り、薄暗い道、偶然触れる手。
平行世界で戯れておくれよ。
いつだって、構わない。
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くせものたちはへやのすみで
ひとかけら 鍵の言葉が口をつく
君は冗談めかしてはぐらかす
僕は己から剥がしてはぐらかす
その壁はまだ越えてはいけない
手探りで感覚だけ触る

少しの事象に一喜一憂する様は
まるで青い春のようだ
ただの戯れだと分かっている
そうして僕は暇を塗り潰す
だけど嬉しかったり悲しかったりは切実で
いつも通り僕は生きているのだと思う

近接は自然愛着を生むと 分かりきっている
生まれた愛着を嗜好品にする横柄さを
この体の中で持て余している
それでも麻薬のようにやめられない
もう開き直ってしまった

静まり返った 白い蛍光灯の下
広い部屋の隅
君を見ることはせず たわいない言葉を投げる
君も視線をずらして 柔らかい声を放つ
だいたいどうでもよくて
たまにほんの少しの切実が混ざる
どうにも心地良い部屋の隅は
これから幾晩も巡るのだろう

あるだろう激情を 引きずり出してみたくなる
また酩酊に頼りたくなる
臆病で脆弱だからね
踏み切るには 理由と転嫁先がいるんだ

そうやって僕は日がな生きていく
願わくば暫く戯れを見逃して
部屋の隅で遊んでよ


|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
エルフの森

柔らかい声色が じわじわと侵食してくる
イマジナリな事象で 戯れ遊ぶ
現実が想像の中と重なりかけて 身を強張らせた
何でもない瞬間だったのだけれど

この金属の輪がなければ 僕はもう少し深く潜っただろう
そうして辿り着く場所は いつか見たあの景色なのだろうけど
悪癖は変わらずこの胸の中に
それでも手を伸ばさないのは 多分戯れが好物だからだ
ずっと変わらないなと 自嘲したい気分だ
メインよりもアペタイザ

エルフのように森の中で舞い踊っては
人に戻って里に帰るよ
ifを思ってはどこにも辿り着かない
行動を伴うことなど刹那だってない
一緒に踊ってくれないか
ただ、単に、愉悦を得たいだけだけど
この体で

いつかみたいに横顔を盗み見る
そっとそっと 見るだけだ
たとえば僕がこの金属の輪を持っていなかったなら
このレイヤに配置されていなかったなら
きっと手を伸ばしただろう 透けた手を
だけど僕には帰る家があるから
羽ばたこうとちっとも思わない
エルフはいつだってイマジナリな森で踊る
この森から出てはいけない
出られない訳では決してないのだろうけれど

白い部屋の隅に 万一にでも追い詰められたとき
どんなダンスを踊るだろうか
森の出口は見えなくて だから安穏としている
そのときは多分 受動ではなく能動で
そういう思考を抑圧している
触れてはいけない その出口に

今日も 明日も 外側だけさわる
エルフは森の中で 今日も戯れ遊ぶ





|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
幻影となる瞬間
あの部屋から 多分最後の電話
貴方は近いうちに飛び立つという
漸く開いたドアの先には真っ当な景色
僕等の時間は 貼り付いて あの空間に灯る

あの日 この体は慈しまれていた
あの日 縋るように手を取って 全てを濁流のせいにした
間違っていると思い込むふりをして
その実何も間違っちゃいなかった

振り返れば遅れてきた青春だった
何度もあのドアを叩いた
怠惰な夜明け アルコールにまみれ
幾許かの惰眠を貪り
何も生み出しはしなかった
それでもあれは青い春だったのだ

たった一つにはなれなかった
なりたくもなかった
それでも止まり木のようにあった
僕もそうあろうとした

そうあれただろうか?
そうあるだろうか?

どう思われようと僕は僕等を肯定する
もう少しでタイムカプセルが破裂する
いつの間に置かれた場所が変わり
言葉一つ真っ直ぐに渡せないけれど
肯定する 全てを

感謝だけ電話に乗せた
貴方は察してくれただろうか
あの日僕等は幸福だった
掛け違えの構造でも

この瞬間に胸に灯った思いを抱いて
電話をくれて
堆積を心に抱いていてくれて 有難う
僕の中にも 見えるかな
幾重にもなった堆積が

あの部屋を琥珀にすることを完遂
これからも貴方は近くに在り続けるだろう
僕は近くに在り続けるだろう
それでもあのドアを開けることはもうない
もう 琥珀になったのだから

最大限の感謝を あの箱に
そして今夜 電話をくれた貴方に

|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
公園の記憶
初めて来た公園
少しでも高く人目につかない場所を探す
夕方を少し越えた空は軽くくすんでいて
生活の証がほのかに灯る
いつかのどこかの公園で留めてしまった記憶は
靄がかりながらも 今もこの胸の中

ミニマムに息をしたい 美しいものだけを飲み込みたい
濾過して 目を凝らし 欲しいものだけを
それでも混沌を欲するのは そこに必要なものがあるから
今頃遠い町では正しい音楽が流れているだろう
それでもいつかの邂逅を予感する
多分それは必然

目まぐるしい時は少しお休み
でも必然性如何
この手は何を生み出すことができるだろう
その時胸に何を抱いているだろう
見つめるために 開き直るために
私は切実に呼吸する
どうしたって消せない欲望
あとはどこで地に降りるかだ どこで表出させるかだ

知らない古い道を歩いていて
何故だか君のことを思い出した
少し凍えながら騒音の前に拙い指で吐き出す
君はこの体の中でミューズとなっている
本当は早く ただの人間としての君に触れたいのだけどね
もう少し もう少しだけ
あの実が熟すまで
そういう気がするんだ
|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
兎の戯言
完全な仮面を被っていたのに
息が少し辛くなって 意図して溶かし始めた
見るもの全てを拒絶するには 少し歳を取りすぎた
完全を求める無為さに気付いたから 僕は少しずつ溶かし始める
そうして僕は少しだけ大人になった
ように見えるかな

本当は君以外に 見せたくなかった
単なる素顔など 取るに足らない
価値を持つのは表現だけ それは僕が一番良く知っている
だから 君にだけしか渡したくなかった
こんな取るに足らない僕は
だけど今横に君がいないから 朝目覚めたっていないから
僕は様々な形で寂しさを表現している
君に気付いてもらうために
僕は声にならない声で 喉を枯らす
のかな

心からの材料は 純粋な表現を生み出す
これがどうしても欲しくて 一番大事な場所を離れた
この材料を用いて とても綺麗な構築物をこの手で
そのためなら 心が潰れようとも惜しくない
そう思おうとしている

君を絞め殺してしまいたくなかった
僕等は各々の足で立つために 暫くの時間が必要だった
何より僕は君に寄りかかるばかりだったから
君のいない空間を知らなければならなかった
僕が生き絶えたとき 君には一人でも生きて欲しい
君が生き絶えたとき 僕はきっと息詰めるだろうけれど
一番長く生きるために 僕と君を生かすために 長く共に在るために
この箱に君を閉じ込めるのを辞めた
のかもしれない

君に渡すには真に素晴らしいものでなくてはならなくて
今の僕にはまだ作り出せなくて
だから少しの間待ってくれないか
もう少しでできあがるから
そうしたら君の隣でまた笑うから
もう少しだけ 時間をくれないか
そうすればもっと素晴らしいものができあがる
そうして僕等はもっと素晴らしい場所へ行くことができる
という夢想

さあどれが本当
それともどれも嘘



|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
同心円
惹かれることと 同一化したいことの区別がつかない
それでも僕等はやはり少し似ていて だから僕は貴方の暗闇が手に取る様に分かる
それはとても恐くて とても我儘で とても甘美なものだ
多分貴方も 大変に愛しているのだろう
そして己の源泉にしているのだろう

幼い日 左と右を組み換えた僕の様に
貴方は魔法使いに憧れた
それは己のピースではないと気付き 貴方は翼を得た
遥か高くへ飛び上がることができる翼を

遠いところに目を置ける人間は 翼を持っている人間は
そのままでは決して地に立つことができない
それを隠すために 魔法のような手品を使う こっそりと
そして焦点をずらそうとする
そうやって何とか息をする

言葉を体と切り離すことができない
思いの外感情的な行動規範を持つ
だから生み出すものは全てが自分の子供で
源泉がないと重さをもって歌えない
そんな自分を 人間らしいと感じて安堵する
元々反吐が出る程人間なのにね

だけど だからこそ 僕等は質量のあるものを生み出すことができるのだ
本当は捨ていくべきだった暗闇を抱いて 余計に苦しみながら快楽を得る
いつだって客体を欲する貴方
まるで鏡像のようだ
一人になりたがる癖に寂しがる

甘くたって 歪んでいたって 傲慢だって
僕等はそうやって生きている
願わくば 北極星のようにいて欲しい
そして寄り添う光に寄り添っていて欲しい
真っ直ぐに
僕は貴方の美しさを見て 少しでも近付きたいと思った


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長い道程
今しがた大きな荷物を下ろしたあなたは これを是だと信じようとしていた
かつてのあなたを 横目で眺めていた私は その信心を肯定せねばと 急かされるように

一欠片だって渡しやしなかった あなたも 私も
それでもあの緩んだ日々の中 多分誰よりも 私はあなたの吐露を受け止めていただろう そしてあなたは私の衝動を受け止めていた
しかし一欠片だって 渡しやしなかった
私も あなたも

ただ眺めて 聞いて 触って 関係がない場所での戯れ
何にも繋がらない場所で 何にも生み出さない呼吸を
初めは少し楽しげに 後には少し苦しく
そしてそっとあるべき場所へ戻った
苦しさが上回るまでとあなたが言った通りに

あなたの抱え続けた大きな荷物は具現化せぬまま消えてしまった
長い間 息を切らし潰されながら 大事に守り続けたあなたを 私は横目で見た
早く手放せば良いのにと 早く楽になれば良いのにと思いながら

緩んだ時間の無益な繋がりは何も生まなかったけれど 私達はお互いを思っていた
決して対ではなくとも 私達は不器用に労わりあった 古い部屋で 懐かしい町で
無為だって分かっていた それでも私達は

私は信心を肯定しよう 精一杯の言葉で
あなたは一つも間違わなかった
あなたはとてつもなく優しい人だ
お疲れ様






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暗い道を歩く
暗い海を臨む目が帰ってきたのは 少ししか街灯の無い迫り来る道
何度となく聴いた旋律を反芻して風が吹き抜ける
暗闇がなければ何も降りてこないまま 穏やかな時間を食い潰すことができる
だけど徒労の重なりは 思ったより甘美で
漸く生命の手触りを思い出す

忌み嫌っていたこみ上げる何かは 暫くこの体を離れ 僕は欠片をなくしていた
重鈍な思考は重いのか多いのか
暗い道は何度となく歩いた古い道と似ている
定住する箱を持つことに 実感を以って恐怖を抱いた
まだその時ではない
未熟であると共に まだ形を持ちたくない
形はとても強い とても硬い
僕の魂はまだ欲しない 混沌を欲する

溢れ出る瞬間を久々に感じる
錆び付いていなかったこの体よ
暗い道は暗い海へ続いていて 僕の源はあの彼岸にある
|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)
花曇
何時も通りの春が来て
ここで初めての春を迎える
桜色の中に 君が居なくて良かった
思い出すことが何もないから
花曇は夢想を柔らかに包む
ないことで感じることもある

もう何回か月が満ちるうちに
若葉が茂り 雨が降り 夏が来る
あの夏は結晶になってしまった
もう暫く 触れることすらないから
とても綺麗な結晶だ
本当は混ざり合っていたのに
喜びと悲しみと楽しさと苦しさが
すっかり忘れたみたいに 綺麗な結晶を撫でる
またページを捲って 実際に触れたいと思うけれど
それは多分今では無くて もう何回か回ったら

多分何時か来るだろう
今日は花曇
思い出すものは何も無い

|lyrique | comments(0) | trackbacks(0)

double happiness
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