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金木犀香る坂道
金木犀の香り、暗がりの坂道、何時も通りの急ぎ足。
明日にはあなたはいなくなってしまう。
嘘みたいに、日常のように、時間だけ過ぎる。

白々しい照明の下、大部屋の端。
要塞みたいな壁の奥に、私とあなたは在った。
いずれこの要塞は緩やかに壊れていくと信じていたけれど、
急転直下の大きな力、この小さな体では何もできず、思いをただ川の流れに放った。

柔らかな声、眼鏡の奥、横顔しか盗み見ることができない。
目を伏せてはその周波数を忘れないように刻み込んだ。
天性の先生は沢山の言葉を投げるから、まるで一緒に映画を観るように、趣のないデータを覗き込んだ。

秘密をたくさんもった、偽悪的なあなたは、明日には広い世界に行く。
いつか、私も羽ばたくから、そのときまで私の視界から、消えてなくならないで欲しい。

明日から私は忙しいと呟いて、あなたがいないことを見ないようにするだろう。
立ち止まったとき、あなたがいた席に自分が座っていることに、吃驚して、少し泣きたくなるだろう。
ここのところ池のほとりに逃げる回数が増えていたのは、メランコリーを咀嚼するためだった。
そうでもしないと、耐えられない。
嗜好品にしてしまわないと、潰れてしまう。

漸くあなたの望みが叶って、本当に嬉しく思う。
でも同じくらい、もう少しだけ時間が欲しかったとも思う。

アルコールを杖にして放り出した言葉は、ちっとも嘘じゃない。
柔らかな声、願わくば長く、私に食べさせて欲しい。
金木犀の香り、薄暗い道、偶然触れる手。
平行世界で戯れておくれよ。
いつだって、構わない。
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