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それぞれの湖畔
とてもシンメトリーな、精緻な構造をその手で組み上げる彼の人を見て、私は畏怖と畏敬と憧れを感じた。
その手は、その頭は、その体は、己の実存すら構造化する。見え透いた形で。
その様を感じた時、現実とは相容れないと解っていながら、この魂を私のイデアにしたいと願った。

憧憬と同一化は必ずしも矢印で結ばれるものではない。これまでだって、何度もこの真綿で首を絞めてきたではないか。

しかし、新たな視点を得た時、同一化を欲する心証に論理を得た。
彼の人はとても見知ったフォルムだった。未知でなく、天才でなく、昇華しかけた写し絵だった。単に憧憬を元にだぶらせた訳ではなかった。

あの丸は、深い海だ。気恥ずかしくなる様な構造は、柔らかい魂のための鎧だ。
私はそっくりな、でもまだ稚拙なパーツを持っている。まだ磨かれていない原石の様な、霧を吐き出す湖を。
その湖面は彼の人の中で広がり、たまに日を受けて光る。私はそれを食べて、安堵する。

それはこんなにも膿んだ、客観という名の限りない視線を振り払えない、柔らかい魂の持ち主の活劇だ。
だからこそ、私は惹かれ、愛する。その外側の幻影ですら。全てを飲み込む。そして、模倣する。

幼い頃から相変わらず、S極の要素は不変のようだ。私は大きくなった。沢山のものを得た。それでもあの青い部屋に還る。
そこで茶色いノートに、拙い世界を描く。

時は経てど何も変わらない。少し巧くなっても、変わらない。
それでも彼の人の様な輝く湖面を得ることができるならば、柔らかい魂を恥じることは辞めよう。私は落ちるまで、この構造を全うしよう。
太陽を昇らせることができるのは、この手だけなのだから。

魔法使いになれないならば、手品師になろう。極限まで自覚的な運動。
鳥はそろそろ、競うスピードより重要な着地点を探し出す。
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